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アヒルボート

父が病気でなくなった二年目の春、私は東京にいる母の家に行った。

十三歳の時両親はもう離婚した。私はもともと名古屋に住んでいた父と一緒に過ごすことになって、母は一人で上京した。この五年の間、彼女からの音沙汰はほとんどなかった。父が亡くなった後、彼女はもう新しい生活を始めたことを知った。

名古屋駅の改札の前で、私は財布から出した、二枚のきっぷを見た。財布は母からのプレゼントで、十二歳の誕生日のプレゼントだ。すり減ったピンク色から出たきっぷの後ろは、なんだか花びらから飛び上がった黒い蝶に見えた。

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